中編投稿テストの為の書き溜め① 開始 

小説で稼ぐ

今回は中編を土日に25本ほど連続投下する実験です。
前回の結果を鑑み、現代ファンタジーにしてみます。あんまり現代にする意味は無いのですが、みんなその程度だし大丈夫だと思います。
視点は三人称が個人的に好みなんですが、楽だし主流なので一人称基本で行きます。
色々と思惑はありますが、まずはとにかく書き溜めです。

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199X年、世界はファンタジーの熱に包まれた。海に海底神殿、地にはダンジョンが乱立し、モンスターが闊歩した。だが、人類はハッスルしていた。

「み、水……」
「ん」
「Thank you Bro‼️」

弟の入れてくれた水をごきゅごきゅ、1杯1円程度の水道水だ。よく冷えていて今日もうまい!
今日はニコニコ日曜日、社(やしろ)家みんな集まってお昼を食べる平和なシーンである。

弟はまだ8歳のキッズなのに落ち着いた賢い子だ、末は博士か大臣か。大物の気配がビンビンだ。
礼を込めて弟の頭をグリグリするのを反対側に座っていた妹様が半眼で抗議してきた。
「兄よ、水くらい静かに飲め。平太、兄を甘やかすな」
「そうだぞ鉄平、水くらい自分で入れろ」
妹の咲耶の言葉に親父が乗っかってくる。親父は妹に全乗りしているだけなので無視でいい。

妹の咲耶は2つ下の中1、口は悪いが見た目は日本人形みたいな女の子だ。
いわゆる姫カットだが、黒い髪はよくみると濃い藍色だ。なんかいいトコのお嬢だった雰囲気があるんだよなぁ。

「咲耶よ、人は何かを頼まれ、それに応え、その報酬を受け取る事に喜びを感じるものなのだ。こうする事で平太に道徳を学んでもらっているのだ」
ンっンー!賢い、今考えたとは思えないね。
「まぁ!鉄平君はかしこいわぁ、これからも平太をお願いね」
「そうだねママ!鉄平が頑張ってくれるから父さん安心だよ!」
「う、うん。ほら平太」
「ん」
かあさんが褒めてくれるが、かあさんとは血が繋がっておらず若くて綺麗なので真正面から褒められるとちょっと困る。見た目は二十歳くらいにしか見えないのに13歳の妹と8歳の弟はかあさんの連れ子だ。かあさんの名前は静香、前の名字は知らない。
ばちこんとウィンクされて顔を背けてしまった。何故普通の中年ハゲかけである親父がこの美人を捕まえられたのか謎である。親父は今年で50、俺は15、かあさんは分からん。

俺のかあちゃんは探索者だった。料理が上手くて腕っぷしが強いのが自慢のかあちゃんだったが、俺が小学校に上がってすぐに帰ってこなくなった。親父はダンジョンに呑まれたと言っているが、あのかあちゃんが言伝も出来ないほどやられるか?実は親父に愛想が尽きたのではと睨んでいる。俺の事はいいんだよ、俺は強い男だからな。

「お父様、母の言葉に乗らないでください。」
「あ、あぁごめん」
へっ、ザマァ無いぜ!
「兄、顔がうざい」
「…おう」
咲耶は平太に対しては優しい姉ちゃんだ。親父に対しても気楽に接しているが何故か言葉が硬い。そして俺にはきつい。3年前に初めて会った時は兄様兄様と呼んでくれたのにな。

『…の周辺に新たなダンジョンが発見されましたが、昨日21時にA級クラン「永遠のユニコーン」のチームが早期攻略を成功させ、周辺の安全が確保されました。「永遠のユニコーン」は今回の攻略を…』
「あらぁ、近くに出来たダンジョンはもう無くなっちゃったのね。姫川さんの奥様と一度行ってみようかって話してたのよ。そんなに急がなくてもいいのにねぇ」
「ママ、ダンジョンは危ないよ。そんな気楽で行くところじゃないっていつも言ってるじゃないか」

世界にダンジョンが現れて20数年。最初は事故も混乱も大変なものだったらしい。突然現れたダンジョンに早速探索を行った人達は、モンスターに襲われて被害をだしてしまった。
戻った人達の証言と映像によりダンジョンとモンスターが定義され、世界中が対応に追われた。日本政府は当初全面侵入不可規制としたものの、各国がダンジョン内から新エネルギー物質や現代医学では治療不可能な病気・怪我を治せるポーションを持ち帰った事が発表され、その需要に押される形で抑制的ながら一部を除いて一般開放された。
最初は免許制度とか年齢制限もあったそうだが、すぐに取り払われた。ダンジョンアイテムはとても有用だ、儲かるのだ。であれば探索者がどうなろうと知ったことではない、行きたい奴はどんどん行け、利益を生み出せという事だ。探索者は自分で選択して命をベットする、社会のエリートは探索者の持ち帰る物を利用して富を得る。規制などするわけがなかった。

そうして人々はダンジョンに潜り、すぐに気づいた。ダンジョンでモンスターを倒しているとゲームの様に成長する。魔法も不思議なスキルも発現するのだ。それは人智を超越していた。
時速300㌔で走る者、拳で鉄を砕く者、隔絶した美を手に入れるもの、計測出来ないIQを誇る者。

人類は沸き立った!生まれが悪かろうが頭が悪かろうがダンジョンで戦えばいい!底辺と侮られた鬱屈した人生は終わりを告げ、暴力で稼げる時代が来たのだ!
出生率は爆増!景気は爆上がり!科学は発展し!富は分配され!英雄が町を闊歩した!世は正に大ダンジョン時代!!
というわけで、俺もダンジョン探索者になる予定だ。探索者になるなら学校の勉強はいらんし、人に頭を下げる必要もないし、税金とか保険とかよく分からん事は全部やってくれるし、人と関わる必要もない。要するにダンジョン潜ってアイテム取ってくれば全部上手く行く。やらない手はないよなぁ。

「俺もこの後友達とダンジョン見学行く予定なんだ。」
ここはあっさり切り出して穏便に許可を取りたいと思います。

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