そろそろ諦めようかなって気持ちが強くなってきました。
現状ではブログの文字稼ぎ効果が大きいので、審査が厳しいという申請中のアフィリが通るまでは頑張ろうと思います。
AIを利用したいのですが有料なので、無料のAI君が協力してくれるのはキャラの描写くらいですね。
資金が出来たらAI導入してみたいです。
ここまでのカクヨムでの広告収益は30円分くらいです。
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半額弁当を手に家路を急ぐ俺は窓部 伊太郎、25歳。
3年前に従業員200人超えの中企業に滑り込み入社したものの、ミスを繰り返して誰も関わらなくなってしまい、今では窓際でエクセルを開いたり閉じたりしているだけの日々だ。
「はぁ、なんかこう、働かずに簡単に一生食っていけないかな」
ささやかな願望が漏れてしまった。毎日頑張っている俺に誰かご褒美おくれ。
ゴン!!
「うぎゃあああああ!」
突然頭に硬いものが!くそっ!エアマックス狩りか!?
「ん?」
周囲を見渡すが誰もいない、代わりに足元に分厚い本が一冊。
「これ投げられたのか、俺に何の恨みがあるんだよ」
分厚く豪華な装丁の本だ、これは古本屋に売れるのでは?ブッ◯オフではなく個人古書店を狙うべきだな。まずはタイトルをチェック。
【召喚のススメ!召喚を始めたオレ、働かずに一生食っていけた件】
「なんだ?こんな豪華なのにラノベなの?高く売れないじゃん」
ガッデム!蹴り飛ばしてやろうかと思ったが一応拾って中身を見てみよう。
瞬間!謎の本から光が溢れだした!本から溢れた光は一本の筋に収束し、右手を突き刺す!
「な、なんだこれ?!」
見ると手の甲には凄くカッコイイ紋章が刻まれている。血のように紅い凄くカッコイイやつだ。
「うおおおお!完全にファンタジー展開!これって召喚魔法覚えたってことだよな!」
夜の住宅地で左手にスーパーのレジ袋を下げながら、右手を突き上げて雄叫びを上げる。
これで不労所得だ!召喚したやつを働かせて俺は毎日だらだら過ごしながら、美味いものを食い美味い酒に酔う!こんな楽しいことはない!!
瞬間!またもや光があふれる!今度は足元から包まれる様な光だ!
「う、うわぁぁぁ!!許してぇ!!」
「大丈夫ですよ!この度は召喚獣にご登録ありがとうございます!」
「へ?」
突然目の前に少女が現れた!
赤い髪はツヤツヤと輝き、瞳は碧色でキラキラ輝く。小柄な体には可愛らしいワンピースがよく似合い、笑顔がとても魅力的。元気いっぱいの印象だ。
なんとか落ち着こうと周囲を見渡すと、大きな建物の中の様だ。さっきまで道路に立ってたよな?
「な、なんだ?どうなってるんだ?」
「はい!アナタは召喚獣に登録されました!これから頑張ってくださいね!」
分からない事を畳み掛けてくる、可愛い顔して悪魔の様な少女だ。
「ん?え?俺が召喚獣なの?召喚されちゃったの?」
「そうです!召喚獣になるのは光栄なことなんですよ?おめでとうございます!」
えぇ~~、嫌だよ何で俺が召喚されるんだよ。俺は召喚して楽をしたいの!
「あの、だったらやめておきます。お邪魔しました」
「そうですか…残念です。それではあちらで切腹をしてください。介錯は出来ないので思いっきりグサッといく方がいいですよ!」
働かないなら死ねって事!?帰りたいだけなんだが!?
「一度召喚されちゃうと頼みを実行するか自決しないと戻れないんです。誰かに殺されちゃうと24時間後に復活します」
「まじかよきつすぎるだろ・・・あれ?達成出来ないとか召喚者が帰れって言ったらどうなるの?」
「今回は説明を聞いて本登録するだけですし、こんな事も出来ない人を丁寧に返す必要ないですから!」
にぱー!ニコニコ笑顔で俺を絶望させる可愛い悪魔。わからせてぇなぁ俺もなぁ。
「すいません。説明聞きます」
「はい!ありがとうございます!でも簡単ですよ。召喚獣は色んな世界に召喚されます!召喚は突然されますので召喚者の為に働いてください、結果はアナタには関係ないので無能でも大丈夫です!」
なるほど、まぁ出来ない事を要求されても困るもんな。
「そして!働いて送還される度にポイントが貰えちゃいます!ポイントは景品と交換できますよ!景品は交換リストがありますのでじっくり選んじゃってください!」
ほーん、分かってきたぞ。召喚されて、働いて、景品ゲットね。
「働きたくないんやが?」
「ではあちらにどうぞ!」
「本登録をお願いします」
俺は美少女には優しいのだ。言われた通りにします。
「はいはい!と言っても同意するだけなんですけどね。これで終了です!窓部伊太郎さんのご活躍を期待しています!」
にこパー!!
うーん、仕事のできる少女だ。突然の事だったのにスムーズに終わってしまった。
「それでは初回登録特典の交換リスト本をプレゼント!更に100ポイントが進呈されます!上手く使って次回からの依頼に役立ててくださいね!それじゃあさようなら!!」
足元に召喚陣が現れて体が吸い込まれていく。怖いけどこれで帰還なんだろう。
「あ!召喚中は時間止まってますからね!」
元気な少女の声が暗くなっていく世界に響いた。
「はっ!戻ってる?」
気づいたらいつもの住宅街に戻っていた。
「とりあえず帰って飯食うか」
ひとり暮らしのボロアパートに帰り、いつものルーチンを消化した。
さてさてお楽しみタイムだ!景品リスト本を開いてみた。
保有ポイント 100ポイント
【身体能力上昇lv1 1ポイント】
【魔法能力上昇Lv1 10ポイント】
【魔法技能セットLv1 20ポイント】
【格闘技能セットLv1 2ポイント】
【日本円 1億円 1万ポイント】
【和風朝食セットLv1 80ポイント】
【受付嬢わからせ 120兆ポイント】
欲しいものを書き込んでください
※リストは召喚者のご都合で追加されます
取得済みリスト
なし
「これだけ?1ページしかないじゃん。ていうかバランス悪いな」
下の方は無視しよう。魔法を試したいがお高い、日本円があるのは嬉しいがなんで1万ポイント?1万円1ポイントにしなさいよ。
「書き込むって空いてるページでいいんだよな?」
俺は迷わず身体能力上昇100と書き込んだ。これが俺の生き様。
書き込むと本が光り、書いた文字が吸い込まれるように消えて取得済みリストが新たに浮かんできた。
取得済みリスト
【身体能力上昇Lv100】
うむ、何か変わったのか分からんな。最強になったはずだが部屋の中じゃ分からん。
少し後悔したが仕方ない、召喚されたらまたポイント貰えるんだし今日はもう寝よう。
「おやすみなさい」
ぐぅ。
「起きろコラァ!!」
突然男に蹴り飛ばされた。何だ何がどうなってる?
「あいつを攻撃しろボケナス!」
え?あ、これ召喚だ、寝てる間に召喚されたのね。
召喚者らしき男が指すのはでかいスライム?おいおい異世界転移きちゃったよ。
「さっさとしろ!」
そうは言ってもな、俺寝間着に素手だよ?靴もはいてない。
まぁでも結果はどうでもいいと言ってたし、攻撃すりゃ良いんだろ?
俺の身体能力はLv100!体が軽い!今ならスライムなんぞ拳で爆散させてくれるわ!
「ホアチャー!!」
窓部のこうげき! スライムに0のダメージをあたえた!
スライムのこうげき! 窓部に100のダメージをあたえた!窓部は倒れた!
「ごぼぉぉぉ!」
な、なんだこれは!?俺は身体強化Lv100の猛者のはずだろ?
暗くなる視界の中にスライムが寄ってきていた。召喚者の姿は無い。
あぁそうか、俺は囮だったのね。
スライムに伸し掛かられ、ジュウジュウと体が溶ける痛みで叫んでいたら世界が暗くなった。
「あばぁぁぁぁ!!」
戻ってきた。急いで体をチェックするが怪我もないし寝間着も汚れてない。助かった。
恐ろしい体験だった。こりゃさっさと強くならないと頭おかしくなるわ。
ポイントをチェックしようと本を開くと保有ポイントが200ポイントになっていた。
これは多いのか少ないのか?とりあえず魔法でも取ってみるか?
保有ポイント 200ポイント
【身体能力上昇lv101 1ポイント】
【魔法能力上昇Lv1 10ポイント】
【魔法技能セットLv1 20ポイント】
【格闘技能セットLv1 2ポイント】
【日本円 1億円 1万ポイント】
【和風朝食セットLv1 80ポイント】
【受付嬢わからせ 120兆ポイント】
【皮装備セット 100ポイント】
【全身甲冑セット 200ポイント】
【鉄剣 150ポイント】
欲しいものを書き込んでください
※リストは召喚者のご都合で追加されます
取得済みリスト
【身体能力上昇lv100】
なんだよLv100って大した事ないのか?装備品が増えてるな、流石に寝巻きじゃきついしな。
確認はした。ヨシ!明日に備えて今は寝よう。
ぐぅ。
大変な夜を過ごした。あの後5回も呼ばれたのだ。なんなの急に呼ぶのやめてよ。というか拒否出来ないのかよ。
呼ばれる度に死ぬ思いをする事になった。召喚獣の扱いに異議を申し立てたいのだが、一度見かけた他の召喚獣は華麗に活躍して帰っていった。これ俺が弱いのが悪いの?
朝になったが体は全く休まっていない、精神はズタボロだ。会社に休む電話を入れたらもう来なくていいと言われた。
このままでは死んでしまう。生活費も問題だがその前に心が死ぬわ。
幸いポイントは一晩で1500ポイント溜まっている、1週間で1億円が手に入るなら仕方ない苦労だろう。だがまずは俺が強くならなきゃ心が持たない。
「鎧と剣は必須だ。こんなんじゃ体がもたんし残りは身体強化でいいか」
欲しいものを書き込むと本が光って甲冑と剣が飛び出した。
取得済みリスト
【身体能力上昇lv1250】
【全身甲冑セット】
【鉄剣】
身体能力を一気に上げると体に力が漲り、疲れが吹き飛ぶようで大変気持ちがいい。
「よし、これを装備しておこう。寝間着も向こうでそのままだったし鎧を着ておけば安心だ。騎士風なら多少扱いもマシになるか?」
本から鎧と剣が飛び出したがそれがどうした。もはや俺に驚きは無かった。
その夜
「ぜぇ~ぜぇ~オラァ!!」
何度も何度も呼ばれた、性能の上がった俺は大人気の様で大変素晴らしい。
何とか豚の化物のような奴を倒した。
「よし、帰れ」
目の前が暗くなり元の世界に戻る、時間は進んでいない、疲れはモリモリだ。
「あいつら散々コキつかいやがって!!」
疲れた、ゆっくり眠りたいがまたすぐ呼ばれるかもしれん。俺は本を開いて身体能力を上昇させた。
「ウェヒヒヒ!コレだよコレ!たまらねぇぜ!」
どうやら俺の性能が上がった分だけ報酬も上がったようで、既に身体能力上昇は1万を超えていた。
それからも昼夜構わず召喚され、どこまでが1日なのかも分からなくなった。
もう金などどうでもよく、たまに装備を更新する以外は全て身体能力上昇に注ぎ込んだ結果、1億でカンストしてしまい、楽しみを失った俺は仕方なく武術も魔法も極めたが眠気も疲れも貯まる一方だ。
「あぁぁあうあああ、あああ」
俺はアホになっていた。召喚されるとドラゴン倒せとか魔王殺せとか要求されるようになり、俺は全てをぶった斬った。一度に貰えるポイントは100万を超えた。
何でこんな事になったんだ?俺は働かずに優雅に暮らすだけでよかったのに、そんなささやかな願いすら今は遠い。
もう何も考えたくない。
また召喚された、なんでこんな貧弱な奴に報酬も無く使われなきゃならんのだ?殺してやろうと思ったが体が動かない。召喚獣は奴隷なんだ、言われた通りに働くしか無い。唯一の抵抗が自決だ。もう何度もやった、そして帰ってすぐまた召喚されるのだ。
もう言葉も無い、俺の心には怒りで埋め尽くされていた。他にはもう何もない。
『▇▇▇▇▆▆▆▅▂────!!』
召喚され、怒りの衝動に突き上げられて咆哮を上げる。
命じられ働く、逆らう事は出来ない。が、そのついでに破壊を撒くことが出来た。
召喚されたら目に付くもの全てを破壊する、それに召喚者が巻き込まれるのは知らん。
『▇▇▇▇▆▆▆▅▂────!!』
切り飛ばし、殴り潰し、魔法で焼いた。それでも召喚者はいくらでもいやがる。飽きもせず俺に破壊を命じてくる。
そんな繰り返しの日々、極限まで力を溜め込んだ体は大きく成長し、溢れる魔力は存在するだけで絶望を垂れ流す。俺はもう何も感じなくなっていた、破壊するだけの獣だ。
そんな俺がまた呼びされた、この世界も終わらせてやろう。
『▇▇▇▇▆▆▆▅▂────!!』
広場の様な場所に沢山の若者と召喚獣がいる。前には少女。さあ言ってみろ、どんな願いも叶えてやろう。全て破壊するのがお前らの望みだろう。
『▇▇▇▇▆▆▆▅▂────!!』
周囲の者が怯み座り込む中、少女は平然と応えた。
「私がお前のマスターだ」
常にブチ切れている最強の俺と、気怠げな少女。二人の出会いは俺にとって最高のものだった。お前の為なら世界の全てを砕いてやろう。
おしまい
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