中編投稿テストの為の書き溜め③ 

小説で稼ぐ

まだまだ増やしていきます。
1本1500文字くらい?30分くらいかかってます。
プロットとかそういう技術があるらしいというのは知っていますが、所詮素人のお遊びなので完全ノープランでやってます。
名前覚えて無くて後ろを見直すのが面倒です。
ここに書いた物は下書きで、カクヨムで色々訂正しています。

――――――――――――――――――――――――

「よっしゃいこうぜ!」

今日は様子見なので近場の管理ダンジョンに行く。
管理ダンジョンというのは言葉そのままの意味、攻略せずに維持管理して資源を集めているダンジョンだ。ダンジョンの発生理由は謎に包まれており、不便な場所に発生したダンジョンは管理がし難いので安全の為に潰してしまうのだ。最奥にあるコアを潰せばダンジョンは壊れてしまうらしい。
ダンジョン侵入に年齢制限すら無いんだから安全の為というのは建前だと言われている。資源を独占したいだけだろう。モンスターがダンジョンから出てきた例は無い。だから見つけても隠しているダンジョンは結構あるという噂だ。

「んじゃ電車乗ろうぜ、3つ先の葛の葉駅の駅前にある狸ダンジョンだ」
駅に入ると大きな山宮が注目を集めてしまうんだが、玲司が睨みつけ、蓮は山宮と顔を合わせてニッコリ笑っている。こいつらのこういうトコがモテるだろうなぁ。俺も何かやりたいな。変な事して俺に注目集めると良いんじゃないだろうか?デコイだよ、ダンジョンの役割的にはタンク役だ。よしこの作戦で・・・
「社くん、やめて」
「何も言ってないが?」
「やめて」
いいんちょに止められてしまった。何故俺の考えがわかったのか?こいつ抜け駆けしてダンジョンで超能力目覚めたのでは?
「鉄平は分かりやすいのよ、全部顔に出てるからね」
「そんな訳無いだろ、俺はいつでもクレバーな男で有名だ」
もういい、たった3駅だ。無心で行こう。

「結構活気あるな、気分が削がれちまうなぁ」
同意、もっと厳かであってほしい。
ダンジョンの入口付近は屋台が並び、遊びに来ましたって雰囲気の連中が沢山いた。まぁ俺達も似たようなもんではあるが、これじゃあ本当に遊びに来たみたいだ。
一応探索に使う道具や食料も売っている。

「あんな物に用はないだろう、申請は済ませてある。いくぞ」
玲司に急かされ入口に直行だ。ダンジョンの侵入に細かい制限はないが、人数だけは申請する必要がある。人数だけ管理したがる理由は知らんが、ネットで事前申請していれば職員にチラリと確認されて終わりだ。
「本当に放任なんだな。」
「ふんっ、中で誰が死のうが何が起ころうが知らんというわけだ」
「いいじゃねぇか、グダグダ言われなくてよ!中に入れば別世界だ!」
玲司は思うところがあるようだが、俺は蓮に賛成だ。中での事には口を出さず、利益だけを啜っていればいい。ダンジョンは探索者達の領域だ。

「この様子じゃ犯罪が溢れてそうだわ、取り締まる気はないのかしら」
いいんちょがぶつぶつ文句を言っているが、犯罪だけを見つけて取り締まるなんて無理な話だ。犯罪を見つけるためには普段から監視する必要があるし、管理者には強い権限を与える必要がある。そして荒っぽい探索者と管理者の間には緊張が生まれるだろう。ここは非暴力と平和を愛する人の為の場所じゃない、暴力と闘争で稼ごうって連中の世界なんだ。この体制が正解なんだと思う。
「モンスターにだけ注意してちゃ駄目ね、特に智子はフラフラしないようにね」
「どういう意味よ!」
「ともちゃん、ともちゃんは可愛いから気をつけてねってことだよ」
「あ、ああそういうことね!セリナも琴音も気をつけるのよ!離れないようにね」

やっぱり締まらないなぁ。今度は男3人で来ようぜと思いながら、ダンジョンデビューだ。

――――――――――――――――――

ダンジョンには色々なタイプがある。入口は階段だったりトンネルだったり鳥居や門だったりする。中は迷路のような洞窟、広い空洞、アメリカにはSFの宇宙船内部みたいなダンジョンもあるらしい。他にも地下なのに空があったり海があったり森や平原、険しい山もあるそうだ。とにかく訳のわからないファンタジーな存在なのだ。

ここ葛の葉の狸ダンジョンは大きな盛り土に入口を付けたような洞窟型、ポピュラーな初心者に優しいダンジョンだ。そして見学者が多い。
「まずは戦ってみたいわよね、地図は買ってあるし奥に行ってみましょうよ」
地図があっても地図の扱いには慣れてないんだがな。まぁこんなに人が多いとこで突っ立っててもしかたない。ぞろぞろと奥を目指した。

「む、出たな」
20分ほど歩いて初エンカウント、角からモンスターが現れた。
狸ダンジョンで出会ったのは狸型モンスター、そらまぁそうよ。
狸と言っても可愛らしさは無く、牙を剥いた醜悪な面構えだ。
「か、可愛いわね。これ倒すの?」
セリナさん、君趣味悪いって言われない?
『ギャゥゥゥ!』
狸モンスターはお構いなしに襲いかかってくる!
「シュ!」
玲司が前に出て容赦無くナイフで切り裂いた。その一撃で狸モンスターは小さな呻きを残して消えていく。

「やるねぇ!次は俺がやらせてもらうぜ!」
蓮がはしゃぎながらモンスターの残した小さな石を拾う。
「これが魔石か、俺達はこいつを集めればいいってわけだな」
「狸の魔石は500円くらいらしいよ、いっぱい集めようね!」
500円か、高いのか安いのか。6人で分けたら100円にもならんな。

「それより水島くん!ナイフ!そんな大きいナイフ持ってたの!?」
ん?え?
「いいんちょ、武器もってる?」
「誰が委員長よ!」
つい口に出てしまった。当然だが俺もコンバットナイフを持ち込んでいる。狸ダンジョンに行くことは事前に決めてあったし、みんな用意していると思ったが?

「智子、私もナイフ持ってるわよ」
「ともちゃん、私は棒だよ。ナイフはちょっと怖いもんね」
山宮の持っているのは棒というか棍だ。金属製の六角棍てやつだな。非常に凶悪な代物である。
「いいんちょ、素手で来ちゃったかー」
「ううっ、そんな話してなかったじゃない」
恥ずかしくなって涙目でうつむくいいんちょ。ふふふ可愛い。

「それなら俺のナイフを使いな、俺にはこの体があるからよお」
蓮が自分のナイフを差し出す。確かにナイフを持ったいいんちょより素手の蓮の方が100倍強そうではある。
「え、でも…」
逡巡するいいんちょの手に強引にナイフを握らせた。ちょっとナイフがごつすぎる気もするが。
「しっかり頼むぜ!」
「う、うん!ありがとう雲野くん!」
顔を上げて笑顔を見せるいいんちょ。まだ一匹倒しただけなんだ、頑張っていこうぜ。

その後もちょくちょく狸モンスターが出たが、一匹ずつ現れるモンスターを順番に倒していくだけの体験会って感じだった。
まぁこれでも基本的な事の確認とか、モンスターとは言え殺す気構えみたいなのは多少出来たと思うよ。
でもこれじゃないんだよな。俺達は、少なくとも俺はこれで食っていきたいのだ。出来れば沢山稼ぎたいし上位ランカーを妄想する事だってある。

「今日はこのくらいにしておきましょ。いい経験になったと思うわ」
24匹目を狩ったところでセリナが声をかけた。異議はなく、帰りに6匹倒して丁度30匹目。
ダンジョンを出てすぐ横にある買い取り所で魔石を売った。合計15000円、一人2500円もらって解散だ。時間は18時、良いキッズは家に帰る時間。

「みんなおつかれさま~、お腹へったね~」
「ナイフありがとう雲野くん!今度はちゃんと持ってくるわ!」
「流石にこれだけじゃ強くなった気がしないわね」
「この程度ではレベルアップは無理だろう、遊びに来たようなものだ」
危険なく体験を終了し、お小遣いも手に入れた。なんとなく満足そうな雰囲気があった。

―――――――――――――――――

「俺はちょっと周りの店覗いてから帰るよ、またな」
「鉄平、俺も行くぜ。何か食べねぇか」
解散して俺と蓮が残り、それぞれ家路についた。

「鉄平、どうだった?」
「良い感じだったと思うぞ。女子もいたしな」
男女6人でダンジョン見学に来たのだ。怪我もなく目標を達成し、仲良くお小遣いを分けて解散だ。楽しかったし、いい思い出になるだろう。

「けど、こうじゃないよな」
ちがうよな。今日はこれでいいかもしれない。けど俺が望むのはコレじゃない。きっと蓮も違うはずだ。
「だな。まぁ今日の所はここで我慢するが、潜るぜ」
蓮は、なんていうかこいつは、社会に馴染んで働くなんて姿が想像できない。ダンジョン探索者としてランキングや報酬に拘るとも思えない。もっと自由に、何にも縛られないのがこいつだろう。
「あぁ、じゃあな」
「おう」
蓮が飯を買っている間に俺は先に入った。

「オラァ!」
奥に奥に進んで狸モンスターを発見しては倒す。こいつらはナイフで刺すより蹴り飛ばしたほうが早い。でも凄く野蛮な感じがしてみんながいる時はやりにくかったんだよなー。
何度か脚に噛みつかれて、デニムがぼろぼろになってしまった。モンスターとはいえ力は弱く、ズボンの上から噛まれた程度では怪我はなかった。
夜になり人は殆どいなくなった。ここは初心者の見学用だからこんなもんだろう。
効率が上がり、一人で100匹ほど倒して外に出た。

外はもう真っ暗だ、走り回った後の5月の夜はひんやりして気持ちが良かった。
「ふぅ」
満足だ。初日だからな、これでいいさ。別に本気で英雄になりたいわけじゃない。
中坊が走り回って半日ちょっとで5万?多すぎるだろう。なんで多すぎるほどの報酬が手に入るのか?五体満足なら誰にでも出来る仕事に思える。人が溢れてすぐに価格が暴落しても良さそうなものだ。でもそうはならない。
ダンジョンでモンスターを倒すと強くなれる。俗にレベルアップと呼ばれている。そうして強くなってから弱い魔物を倒しても魔石を落とさなくなるらしい。
狸モンスターを狩って稼げるのはいつまでか?ここでの稼ぎに慣れてしまった人達はきっともう少しだけ強いダンジョンに行くのだろう。
この安全なダンジョンで安全に小遣いを稼ぎ、少しだけ強くなって、もうダンジョンと縁を切るのが最も賢いだろう。
だがレベルアップの恩恵はとても大きいらしい。今までの稼ぎが無くなる、レベルアップで万能感を得る、ダンジョンのランクを上げると報酬も増える。やめられないんだろうなぁ。
中級まで進むとダンジョンに宝箱が出るらしい。これはレベル関係ないので、ここまで行くとある程度の収入を安定させられるわけだ。上手く出来てるなぁ、誘われてるようで怖い。

俺は今日のアガリを握りしめ、良い気持ちで家路についた。

「鉄平!ダンジョンに行ってきたのか!」
「あ、やべ」
親父が怒っていた。だがな親父、親に怒られて反省するのは悪いことをした時だ。俺は悪いと思ってない。
「行ってきたよ。別にダンジョンを舐めてるわけじゃない、探索者をやると決めて準備を進めてるだけだよ」
「おまえは!ダンジョンがどれだけ危ないのか分かってないんだ!」
「まぁまぁ、そんなに怒ってもダメよ。鉄平くんだってちゃんと考えてから行ったんだもんね?」
かあさんは探索者になる事を応援してくれているのかな?援護してくれて助かる。
「うん、まだ絶対じゃないしね。色々やってみるつもり」
まぁ絶対探索者一本と心に決めているんですが。

「母、兄はまた誤魔化そうとしている」
くっ、咲耶よ素直な君はどこに行ってしまったんだい?
「あ!そうだ!!ほ~ら平太、ジュース買ってきたぞ!平太の好きなピーチネクターだ」
「ん!」
ヨシ!平太が嬉しそうにジュースを飲む横でガミガミ文句を言うのは憚られるだろう。この隙に部屋に帰るぞ!
「まって鉄平くん」
「う、うん。何かな」
「今もう夜の10時だけど、ご飯は?ちゃんと用意していたんだけど」
「あ、それは」
「ご飯は?かあさん折角用意したんだけど、余計だったかしら?」
「ごめんなさい」

ごめんなさいが言えるキッズは良いキッズ。
俺のダンジョン初日はこんな感じで終わった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました